10月27日 染五郎祭り??

26日で勘三郎祭りは楽を迎えたが、
27日は国立と演舞場“三響会”をかけ持ち…
染五郎さんばかりを見ていた1日だったかもしれない。
題して“染五郎祭り”♪

国立劇場 十月歌舞伎公演
10月27日 11:30開演 3階席11列

「平家女護島・清盛館~鬼界が島」
獅子が岳の謀反の企てで清盛から流罪を言い渡された
俊寛の悲劇を描いたもの。
通常は赦免された俊寛だったが、成経と千鳥の愛に打たれ、
妻東屋の死で島に残る俊寛の孤独を描く「鬼界が島」だけの
上演が多いが、今回は赦免に至るまでの清盛の横暴さを描く
「清盛館」がつく。
今月は今回の幸四郎さん、勘三郎さん、前進座と3座で俊寛が
上演されている。

幸四郎さんの俊寛は時代物のスケールに合って見応えある。
勘三郎さんのも成経と千鳥を思い、東屋の死の絶望感を見せたが、
幸四郎さんのは成経と千鳥を思いつつ、二人のテテ親としての
責務を果たすのような俊寛である。赦免船が出航し、最後まで
「おーい」と別れを告げる姿はホント永遠の別れを意味するような
怖さというか、船が見えなくなったら、見送る崖から飛び込んで
しまうのではないかと思わせる孤独感を見せる。
気になったのは瀬尾との斬り合いで武士になってしまうところか。
僧都でありたい…

渋い声で手強く憎々しい段四郎さんの瀬尾…左団次さんのと互角か。
爽快な裁き役の梅玉さんの丹左衛門、
素朴でかわいらしい芝雀さんの千鳥、
綺麗で純な染五郎さんの成経、手堅い錦吾さんの康頼で。

「清盛館」の方は、彦三郎さんの清盛が台詞といい、姿といい
ふてぶてしく大きな存在。
逆に松江さんや宗之助さんの教経、重盛は何か荷が重そう。
高麗蔵さんの東屋がしっとりとして品がある。
中宮の出産、出産による大赦、俊寛らの扱いと要語が出てくるが、
わかりやすさが先行し何かわざとらしくないか。
ただ“僧都”という位の重さが清盛からヒシヒシと伝わってくる。


「昔語黄鳥墳・うぐいす塚」
仇討ちのため乞食まで身をやつした源之助が、長者の娘に
一目惚れされ、婿入りすることになる。
しかし、長者の後妻である玉木が悪僧大仁坊と邪険にする…
娘が飼う鶯をきっかけに恋に落ちる二人…
また鶯によって奇跡が起こるおとぎ話のような芝居。

先年の「乳もらい」を思い出す染五郎さんによる復活狂言。
舞台は天満宮や淀川堤など大阪で、下座も上方らしい派手な
雰囲気。 中座を思い出す感じ。
元は紀伊国屋の芸だそうで、ふと故宗十郎さんがやりそうな
芝居と感じたりも…
僕好みの上方の大らかでばかばかしい芝居だ。

染五郎さんの源之助が凛々しく前髪が似合う。
継母玉木に行儀を追究されて、お茶や鼓と太鼓をやるところは
圧巻です。鼓も太鼓も自ら演じ、見ていて気分がいい。
悪僧大仁坊との二役。
大詰めの立ち回りなど早替わりで見せるが、 せっかく段四郎さん
という大仁坊に適役の方が一座にいるので一役でまとめて
欲しい感じもした。東蔵さんとも釣り合うし。
また大仁坊が唐突に出てくるのでおかしさも感じたり…。

宗之助さんの娘梅が枝がおっとりしたお嬢様ぶりで可憐である。
芝雀さんの腰元が手堅い。梅玉さんの長者も貫禄ある。
幸四郎さんの与三右衛門が仇討ちの手がかりを知る人物として
ごちそうである。
東蔵さんの玉木はふてぶてしく嫌みを見せて楽しい。
少しでも若高麗の役に立ちたいと出演される幸右衛門さん…
ちょっと体調が心配。

染五郎さんの源之助と、幸四郎さんの与三右衛門の立ち回りを
見て「雁のたより」を思い出し、大仁坊が梅が枝を殺そうとする
ところは法界坊を思い浮かべ、染五郎さんでいつか三二五郎七や
法界坊が見れるかもしれないって感じました。
…というか、今回の「うぐいす塚」とか「乳もらい」とかこういう
上方の芝居をぜひ松竹座や南座でやってもらいたいとも見ながら
思ったりしました。



十周年記念 第6回 三響会
夜の部 17時開演 新橋演舞場 2階席

能の鼓方の亀井広忠さん、歌舞伎囃子方の田中傳左衛門さん、
田中傳次郎さん3兄弟の能と歌舞伎など融合と挑戦を目的とした
会である。
前から見てみたいと思っていた公演でやっと見ることが叶った。
歌舞伎、狂言、少し能と見てきた自分にとっては夢のコラボレー
ションを見ることできる場と感じました。
舞台は左右に橋掛かりがつき、竹林が橋掛かりの脇にあり、
照明がときおり落ちてきて、どこか寺社仏閣の庭園で見ている
ような…大名のご馳走に伺っているような気分になります。

一.能楽五変化~神・男・女・狂・鬼~
能に出てくるキャラクターを演目立てに沿いながら、
囃子に合わせて舞うダイジェスト版。
高砂・松虫・巻絹・神楽・道成寺と主要な役柄が舞います。
幕が開くと五人の装束つけた能楽師が五人立っています。
能楽のファッションショーか、おもちゃ箱から能楽フィギュアを
取り出して動かしているかのような感覚になります。
高砂の重々しさ、松虫の勇ましさ、巻絹の巫女みたいな扮装で
笛の音と合う神がかり的な舞ぶり、続く神楽の舞が舞台から神様が
下りてきたような雰囲気、道成寺の得体のしれないもののけの怖さと
人の心の哀みと色々と感じました。

二.月見座頭
千作さんや万作さんでも見たことがある狂言。
座頭が月見をしていると、男が現れ、月見の宴になる。
宴が終わり、二人帰ろうとするが、男が目が見えないことから
座頭を突き飛ばしてからかうという筋であるが…今回は舞踊で。
それも藤間勘十郎さん作とのこと。

後見姿の野村萬斎さんが語り部で花道の七三から登場、顔を扇で隠し
バアってでてくる。「サプライズゲスト言われながら、パンフに書いて
あるし何しに出てきたかも不明」と笑わせるが、狂言口調で月見座頭の
世界へ一気にひきこむ。途中傳次郎さんや傳左衛門さんを紹介したり
する。舞台は正面に囃子方、上手に長唄・三味線・琴が控える。

囃子方の後ろより中村勘太郎さんと茂山逸平さんが出てくる。
勘太郎さんは狂言師と同じく素で出てくる。肩衣はうさぎが背にある。
逸平さんの肩衣はかまきりやキリギリスなど描いてあるもの。
この二人の男が、月見する座頭と聞いて待ち伏せする。
しばらくすると、座頭が表れる、座頭は藤間勘十郎さん、素踊りだ。
目は見えないが、月の暖かさや虫の音を持参したお酒を飲みつつ
楽しんでウキウキワクワク踊る感じ。その踊りっぷりは柔らかく形よく
魅せる。月夜に踊る茶目っ気あるウサギみたいな雰囲気である。

その姿を見ながら、勘太郎さんと逸平さんが座頭にチャチを入れる。
酒を盗み飲みしたり、踊りを見てはやしたり、一緒に踊ったり、
勘太郎さんはちょっと仕草がお父様が演じる太郎冠者に似ている。
逸平さんは今回はお笑い担当か、飲み干された酒をほじくりかえ
して飲んだり、座頭と絡みつつ失敗したりと…
勘太郎さんに逸平さんの共演は、中村屋と茂山狂言を見てきた
自分にとってはまさに夢の共演でした。
夢じゃない現実だ…嘘のよう。
また息ぴったりに悪さをするので楽しい。

座頭といいつつ、どうやら目が見えるらしく、二人の男は杖で
頭をこづかれ幕へ。座頭は花道で萬斎さんと絡み、萬斎さんを見て
慌てて座頭の素振りをして去っていく勘十郎さん、七三のスッポンで
笑いながら引っ込む萬斎さん、舞台では頭を押さえながら笑う二人。

昼の部の語り部は片岡愛之助さんだったそうな。
歌舞伎舞踊で演じる太郎冠者ぶりで演じられたそうである。
真面目さ光って、萬斎さんのようなアドリブはなかったとのこと。

中村屋に茂山狂言、歌舞伎舞踊の振付の勘十郎さんそして
萬斎さんに囃子方と、どれを見ていいか…キョロキョロしながら
舞台を見回していました。

三.一角仙人
歌舞伎の「鳴神」の元になった能。
今回は囃子に長唄、謡、歌舞伎舞踊ぽくもあり、能がかり的な
雰囲気もある。
鹿の体内から産まれた一角仙人は、竜神を封じ込め、雨を振らさない
ようにしてしまう。宮廷から使わされた仙陀夫人・臣下が仙人を酒と
舞で迷わせ、力を失わせ、竜神を解放、やがて竜神と仙人が戦うと
いうもの。戦うところは「戻橋」「茨木」に似ている雰囲気。

染五郎さんの一角仙人は王子の鬘に一本の角があるという
ペガサスぽさ。青隈で不気味さを出す。
大河ドラマで舞台を遠ざかっていた亀治郎さんが舞台復帰。
信玄やっている方と思えない白塗りで美しい夫人。酒で仙人を酔わせ、
踊る所は紅葉狩さながら…扮装も羽衣みたいである。
七之助さんが臣下で。青い装束で歌舞伎舞踊の平井など思わせる。
女形ばかり最近見ていたせいか、こういう役も凛々しくていい。

梅若晋矢さんと慎太朗さん演じる竜神は能装束、対して染五郎さんは
歌舞伎装束で、青隈と能面がマッチする不思議さに関心した。
能は演じ手が語らないので、神がかり的で異様である。
まさにもののけぽい。立ち向かう染五郎さんはほぼ人的なので
神や自然の果てしない力と人間のもろさを感じて仕方がなかった。

カーテンコールも一度ありました。

上記もしるしたが、歌舞伎、狂言、能、舞踊、謡いに長唄、囃子と
考えられないコラボレーションで終始圧倒されました。
自慢になってしまうが、色々と見てきた自分にとって、こういうの
見たいなあって思っていたような雰囲気を実際に見られる喜びを
受けとめました。
次回もぜひ足を運びたい。

一日“染五郎祭り”。
「俊寛」でお父様に付いて古典を肌感じる姿勢、「うぐいす塚」で
歌舞伎演目の掘り起こし、「一角仙人」で亀井三兄弟の挑戦に
共に挑み、役者として又舞踊家としての可能性を見いだそうと
する志に感服しました。
談志師匠が「勘三郎の後は染五郎だ」って言っていたのが
わかる気がする。

能狂言見たい熱も再び増してきました。
謡や囃子を聞く・舞を見る・能装束を見るといった楽しみを
改めて見い出せた感じです。

勘太郎さんの雨乞狐や、雀々さんの雨乞い源兵衛でないが、
一角仙人で雨を降らせる竜神を解放したからって、台風が
来ることないでしょう…汗

長々すみません。

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